2014年12月25日木曜日

Pied de poule


Buon Natale e Felice Anno Nuovo ai cari amici.




WAIN SHIELL VINTAGE







            
井上 勇樹


2014年11月29日土曜日

Arrivano le stoffe

Salve!

オーダーして頂いた生地が届きました。



ミラノのサルト 井上 勇樹
www.sartoriayukiinouemilano.com

2014年11月25日火曜日

第一回受注会のご報告

皆様こんにちは。

11月初旬に東京、福岡で受注会を開催致しました。
会場にはたくさんの方々にお越し頂き、素晴らしい出会いがありました。




会場にお越し頂いた方々や、今回の受注会にお力をお貸しくださった方々に心から感謝しております。
次回の受注会を来年2月に予定しております。その際に皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

ミラノのサルト
井上 勇樹

2014年11月18日火曜日

Chesterfild coat

                Buongiorno.

               久しぶりのブログ更新です。

                Chesterfild coat


                                                                      caccioppoli cashmere 100%

2014年4月21日月曜日

Pasqua

Buona pasqua!! a tutti.

 昨日4月20日はPasqua(パスクア)復活祭でした。

 パスクアは基本的に春分の日の後の最初の満月が現れた次の日曜日に定められています。なので、3月に来たり4月来たり、年によって異なる移動祝日です。

 イエス・キリストが十字架にかけられ死んだ三日後に蘇り、復活したことを祝うキリスト教において重要な祭日です。

 家族や親戚、親しい友人などが集まり子羊料理の昼食を食べる習慣があります。子羊は旧約聖書、新約聖書によく登場し、キリスト復活のシンボルです。

 翌日の月曜日も休日でPasquetta(パスクエッタ)と呼ばれ、家族や友人と公園や自然のなかでピクニックやBBQをします。


  Pasticceria(パスティチェリーア) ケーキ屋さんでは、Colomba(コロンバ)と呼ばれる復活祭用のハトの形をしたパンケーキが置かれます。




 子供達にはチョコの卵が大人気で、割ると中にはおもちゃのサプライズが入っています。





2014年4月17日木曜日

La sfilata 2014

Buondi!!

 ミラノサルト界の巨匠フランコ プリンツィバァリー氏から招待状を頂き、先日ファッションショーを見に行ってきました。ミラノ/レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館で行われました。



 




 Grand defile della sartoriaというテーマでUnione Artigiani (ロンバルディア州職人組合)が毎年行っています。今回が16回目だそうで、プリンツィバァリー氏はサルトリア部門最高責任者として、若者たちに技術指導を行っています。
 近年、サルト職人が減少するなか、Unione Artigianiはミラノの幾人かの経験豊かな老サルト、ファッションスクールの学生を一緒に参加させる事により、技術、伝統の受け継ぎに力を注いでいます。












 ミラノコレクションなどで見られるハイレベルな演出はあまり見られなかったですが、洋服からスミズーラ、ハンドメイドを感じとれるすごく楽しく、身近に感じられる興味深いファッションショーでした。プリンツィバァリー氏からもお勧めを頂いたので次回は是非自分も参加してみるつもりです。

 ミラノのサルト    井上 勇樹

2014年4月7日月曜日

Un paio di pantaloni

Salve!

 イタリア語でパンツ、ズボンのことをPantalone(パンタローネ)と呼びます。
ミラノのどのサルトリアにもPantalonaio(パンタロナイオ)パンツ専門の職人が存在します。



 ベルトとの境に小隠しポケット。小銭や懐中時計を入れていました。



 Pungolo(プンゴロ) ベルトステイループ。ベルトのバックルのピンを通し固定する事により、着用中のベルトのズレを防ぎます。



 天狗と呼ばれる下前の持ち出しをPatta(パッタ)、ファスナーをCerniera(チェルニエーラ)と呼びます。この部分には極めて正確な縫製が必要とされるため、ほとんどが手で縫われます。


 
 裾のダブルの折り返しをRisvolto(リズヴォルト)と呼びます。スミーズラの場合、前部が靴に当たって、生まれるたるみ量、後部の靴の踵にかかる量をふまえ裾ラインに傾斜をつけます。
 それと、Battitacco(バッティタッコ)と呼ばれる靴擦れを裾の内側に縫い付ける事により、靴との接触で生じる生地の消耗を防ぎます。

 アイロンワークから生まれるふくらはぎ、ヒップ部分の凹凸がすごく重要で、横からみたときのS字ライン、バックスタイルでの生地のたるみ、アイロンワークによってパンツの善し悪しが決まります。




 マエストロによる型紙作成、仮縫い後の補正、パンタロナイオの縫製、アイロンワーク、これら全てが一つになり、きれいなラインのパンタローネが完成します。

ミラノのサルト  井上 勇樹


2014年3月28日金曜日

La macchina da cucire Necchi

Salve!

 Necchi社の足踏みミシンを紹介します。以前一緒に働いていた老サルト職人から譲り受けたもので彼の母親が戦後1950年代に購入されたものだそうです。ここイタリアでは古いミシンはアンティークとしても持て囃されています。 

 ミラノ郊外にあるPavia(パヴィア)という町で1880年にAmbrogio Necchi氏が鉄工所を始めます。その約40年後1919年に息子のVittorio氏が父の鉄工所でミシンを作り始めたのがきっかけでNecchiミシンが誕生しました。 
   その10年後にはNecchi社のミシンはイタリア全土でブームとなり、第二次世界大戦後にはイタリアだけでなくヨーロッパ全土にその名が知られ一日の製造台数が1000台を超えるほどでした。







 60年以上大切に扱われたためその時代の付属ケース、説明書もきれいに残っています。


 ボビンはすこし錆ついていましたが、ミシン本体のボビン巻きの機能はしっかり役割をはたします。


 
 今まで働いた全てのサルトリアでも足踏みミシンが使われていました。足踏みミシンに一度慣れてしまうと、自動ミシンでは上手く縫えなくなります。縫い目にもテンションが掛かりにくく柔らかい仕上がりになります。


 

 ミシンを譲ってくれた老サルト職人は最後に目に涙を浮かべ私に言いました。『このミシンでたくさん服を作ってください』と。すごく深い思いを感じました。

 そして、説明書の裏に“una macchina necchi se ben adoperata dura una vita e più"と書かれています。”ネッキのミシンは正しい扱いをすれば、一つの人生、それ以上に長持ちします” 
 今後何十年と服作りに専念し、次の世代までこのミシンが受け継がれれば幸せです。


ミラノのサルト  井上 勇樹

2014年3月18日火曜日

Il cappotto ulster

 Salve!

アルスターコート完成。

イタリアではウルステルと呼ばれています。

語尾の”R”は巻き舌でしっかり発音されます。
例、Harry potter (アリーポッテル)Spider-Man(スペイデルマン)などもそうです。







このコートの特徴はやはりバックスタイルです。中央に走るPiegone(ピエゴーネ)と呼ばれる巨大プリーツ、Maltingara(マルティンガーラ)と呼ばれるバックベルト、この二つがUlsterの魅力を引き出します。





冬の厳しい寒さにもラペルを閉じれる様に考えられています。





 ウルステルコートには思い出がありまして、ちょうど10年前、初めて目にした時、一瞬で一目惚れしてしまいました。そして、師匠(マエストロ)で、ミラノでは私の父親でもあるコロンボ氏に無理をいってお願いし、このコートの仕立ての指導を受け、自分自身に仕立てました。その中にはたくさんの隠し技があり、今でもその時のメモとコートを大事に持っています。

 多くのお客様もウルステルコートの魅力に惹かれ注文されます。毎年、何着か仕立てるのですが、ジャケットとは違い、たくさんのディティールがあり、そして、襟、ラペル、ポケットには、Doppio puntino(ドッピオ プンティーノ)と呼ばれるダブルのハンドステッチが施され、かなりの仕事量になります。

 ウルステルコートはTight(タイト)燕尾服と同様イタリアではCapolavoro(カーポラヴオーロ)傑作と称され、職人達にとっても特別なアイテムです。
ミラノのサルト  井上 勇樹


2014年3月10日月曜日

Le canape

Salve!

 今日は芯の説明をします。上着の前見頃の中には必ず芯が据えられています。
ミラノでは、Canape(カナペ)と呼ばれ、前見頃の土台となる芯です。イタリア語で麻という意味ですが、最近では麻100%の芯地はコート用にしか使われません。ジャケットにはキャメル、麻、毛、ビスコース繊維などの混合素材の芯地が主に使われています。もう一つ、Crine(クリーネ)と呼ばれているバス芯。馬の鬣と尻尾を組み合わせて作られた少し強度とハリがある芯で胸増芯として使われています。
 それぞれのサルトリアによって使う芯地は違っていますが、最も大事なのは必ず、どの芯地も一晩以上、水に漬け収縮させる作業は、どのサルトリアでもかわりません。



 イタリアではお客様の体型、胸のボリューム感、肥満体など、いろいろな事を考慮し一着、一着、芯地をカットし、ダーツをとって芯作りをします。

  カットしたダーツ部分を張り合わせるようにして、ミシンで縫っていきます。




 バス芯と土台となる芯とを一つにしていきます。胸のボリュームを形成する大切な作業です。






 左手で芯を丸めながら、ハ刺していきます。


 ハ刺しが終了したら、胸のボリューム感を確認します。この芯はまだこの時点で、一切アイロン掛けされていません。 アイロンワークに頼らず、芯が一人で形を維持することが大切です。この芯はこれからたくさんの工程を経て服になり、お客様が袖を通した時に体にフィットしなければなりません。

  服作りの第一歩、芯据えです。服作りにおいてすごく重要な作業の一つです。                                                 ミラノのサルト  井上 勇樹

2014年2月24日月曜日

La tasca applicata

Salve!

今日はTasca Applicata(タスカ アプリカータ)パッチポケットを作りましたので紹介します。


まず、型紙を使ってラインをチャコで丁寧に引いていきます。その上をキリビ付けします。キリビ付けが終わったら、上の写真の様に、周りをきれいに6ミリに残してカットし、ポケット口に伸び止めテープをしつけ、テープの端を表にあたりが出ないようにまつっていきます

そして、周りをしつけ糸で丁寧に折っていき、ポケット口の角になっている部分を丸くまつります。クラシコイタリアの服は角になる部分(ベンツの先、胸ポケット、ポケット)を、少し丸型に仕上げます。このしまつをRotondo(ロトンド)と呼びます。

周り全てを折り終わったら、まだ、アイロンをしないでスレキをしつけ、これも周りをきれいにカットしていきます。


手で中に折り込みながら、まつっていきます。まつってばっかりですね。(笑) 普段は同色のスレキを使いますが、今回はコートのポケットなので、普段より厚めのスレキを使いました。 最後にしっかりアイロンして、完成。Eccola!!



前見頃にしつけて、仮縫い時にポケット位置がOKなら、ハンドステッチで本縫いです。

ミラノのサルト 井上 勇樹。

2014年2月12日水曜日

Fatto a mano

Salve!

 Fatto a mano(ファット ア マーノ)とはハンドメイドという意味で、ここイタリアではよく耳にする言葉です。



 
 初めてス.ミズーラのスーツを注文するお客様や海外からお越しのお客様は、サルトリア内にある作業場に立ち寄り、ハンガーに掛かってある服を手に取り、手で縫われたボタンホール、ハンドステッチ、芯、生の服作りを見て"wow fantastic"と驚き、全てハンドメイド?と質問します。イタリア人の職人は" si, fatto a mano" と笑みを浮かべながら自信満々に答えます。 こうしたシーンを幾度と見てきました。このようにしてクラシコイタリアが世界に広まり世界の人たちに愛されているのです。

 長年イタリア人と働いていると、なぜこの国でハンドメイドの文化が廃れないのかよく見えてきます。彼らは長年使い込んでいる道具、昔ながらの縫製、アイロンワークそして彼らが個々に持っているスーツへのスタイル、考え方など、何十年ずっと変えることなく、むしろ、彼らは自信を持って大切にそれを守っています。日々の服作りの過程で生地、ディティ-ル、お客様の好みなどで少しの変化を入れますが、今まで手で縫っていた箇所をいきなりミシンで縫う事は絶対にあり得ない事です。ミシンで縫った方が時間短縮できるという事は彼らには関係のないことです。彼らにとって、そして今となっては私にも言えることですが、一つの習慣を変えるということは、多大なエネルーギーと時間が必要になります。それよりも目の前にある仕事を地道に手縫いでこなしていきます。
 
 そしてもう一つ彼らと働いていて感じた事、それは感性の豊かさです。レオナルドダヴィンチ、ミケランジェロではないですが、彼らは自分たちのことを"Artista"(アルティスタ)アーティストと呼びます。職人のおじさん達は皆、綺麗なラインをすごく愛しています。縫い目線、肩のライン、脇のシルエット、ラペル、襟のライン、フリーハンドで描かれるチャコのラインなどです。
 
 イタリア語で"Armonia"(アルモニーア)調和のとれた、ハーモニーという意味で彼らはよくこの言葉を使います。"Sarto"が求める調和のとれたライン、綺麗な曲線、特に肩のライン、袖付け、ラペルと襟などの箇所で表現される彼らのテクニックは、手でしっかり丁寧に縫われています。彼らが唯一自分の技術を人のアピールできるところです。日本人の自分にはあまり持っていなかった感性で、彼らのおかげで、今では彼らと同じ感性を持つ事ができました。
 
 私はイタリアに来る以前は関西の紳士服の工場で働いていました。そこで学んだ服作りとイタリアで学んだ服作りを比較してみました。日本では新しい裁断システム、CAD、特殊ミシンの導入、接着芯を使用します。それに対してイタリアの服作りはシンプルで、ただ、ものすごいスピードで手で縫われていきます。前見頃作りの工程のなかで生地、芯地、スレキ、物が3枚が重なっている箇所がたくさんあります。生地を曲げながら、上の2枚だけを針ですくっていく作業、丸みを出す為にするハ刺しなど、こういうかがり縫いの作業が服作りの約半分を占めています。裏地の中を見ると、芯、フェルト、肩パット、伸び止めテープ、手でかがられている箇所ばかりです。
 後は、シルクの糸を使ってのボタンホール、ラペル襟上のハンドステッチ、ポケットのD管抜き 胸ポケットのステッチなど、裏地は全て手でまつられています。服全体の90%は、手で縫われています。ジャケットだけでも30時間以上、パンツに10時間以上、さらに幾度かの仮縫い、スーツ一着に掛かる時間は相当なものです。イギリス、イタリア製の一流の生地で仕立てられたスーツの価格は一着約30万円以上にもなります。

 私もそうなのですが、一日の終わりに仕上げた服の出来に少しでも満足できないと自宅での夕食を美味しく食べれないという職人を沢山知っています。(イタリア人にも案外、デリケートなところがあります。)

 職人達は自分が満足いく服作りを常に心掛け、完成度の高い服をいつも仕立てます。職人達はこうしてミラノのサルトリアを長年支え、守ってきました。残念ながら、だんだん職人の数は減ってきています。12年間、色々な事を彼らから学びました。感謝の気持ちでいっぱいです。今後、自分が彼らに代わり若者達に、ミラノの服作りを伝えていきたいと思っています。


ミラノのサルト 井上 勇樹

2014年2月6日木曜日

Lo smoking

Salve!

今日は朝からタキシードの仮縫いを組み立てました。
イタリアではズモーキンと呼ばれています。正確にはスモーキングなのですが、イタリアでは英語が変に訛ります。一般的にはウイングカラーのヒダ胸シャツ、蝶ネクタイとカマーバンドを合わせて、パーティーなどで広く着用されています。

最後にラペルには拝絹(はいけん)がそえられます。光沢のある基本的にはシルクでイタリアではSeta(セータ)と呼ばれ、すごく繊細な生地なので、どのサルトリアでも一番腕の立つ職人が手掛けます。

ミラノのサルト井上 勇樹

2014年2月4日火曜日

La giacca di doppiopetto.

Salve!

ミラノは雨続きで、どんよりとした毎日です。
こういう時はアトリエに隠って仕事です。

先週から縫い込んでいた、ダブルのジャケットがほぼ完成です。仕上げアイロンが終了。
少し時間をおいてジャケットを乾かし、ボタン付けです。
doppio petto
doppio petto2
肩のライン、襟付け、袖周りの仕上げに満足できた作品です。
ミラノのsarto